ジアルジア症

ジアルジア症は、ジアルジアと呼ばれる原虫が小腸に寄生することで起こる寄生虫感染症です。原虫とは、他の動物に寄生する性質を持ち、さらに病原性を有している単細胞生物のことを指します。子犬がこの原虫に寄生された場合は下痢や発育不良だけでなく、体重の減少などが引き起こされます。ヒトへ直接感染するかどうかは不明といわれていますが、犬や猫の糞便に触れる機会があれば、十分な注意が必要です。

危険度

低い 命に関わる恐れは低いですが、注意が必要です。

かかりやすい犬種

全ての犬種に一般的に見られます。若齢犬で多く認められます。

主な症状

下痢をする、体重が落ちる(やせる)、発育・成長が遅れている(発育不良)、脱水症状。ジアルジアに感染した場合、7日~10日の潜伏期間を経た後に発症します。健康な成犬では特に目立った症状はありませんが、子犬や比較的若い犬では、下痢(軟便〜水様性便)がよく見られます。この時の便は色がうすく、大量で、悪臭(腐った油のような臭い)をともないます。下痢は急にはじまっては治り、また再発するといったこともあれば、長期にわたって続くこともあります。また、小腸で栄養分を吸収できなくなるため、下痢が長引くと発育不良や体重の減少が見られるようになります。

予防方法

ひろい食いをさせない、水たまりや河川や湖などの水を飲ませない、便を放置しない、といったことがジアルジア症の基本的な予防となります。また、愛犬が感染した場合は、ケージなど犬の身の回りの物を、先述のとおり、熱湯消毒してジアルジアを死滅させ、愛犬への再感染や他の犬への感染を予防するようにしましょう。

原因

ジアルジア症の原因は、その名の通り、ジアルジアという寄生性原虫に感染することによって起こります。感染はジアルジアのシスト(外界抵抗力の強い殻に包まれた卵状のジアルジア)を口にすること(経口感染)で成立します。ジアルジアのシストは、不顕性感染(症状が出ていない感染)を起こしている犬の便(便正常便)中に排泄されます。散歩中に排泄された便を放置しておくと、雨風にさらされてシストが土や水たまりなどの周囲の環境中に散らばります。犬がこの汚染された土をなめたり、水たまりの水を飲んだりすると、ジアルジアに感染してしまいます。

治療方法

メトロニダゾールという駆虫薬を投与し、寄生原虫を駆除します。犬の治療だけではなく、飼育環境の洗浄もしなければなりません。再感染しないよう飼育環境を消毒(熱湯消毒やクレゾール3%溶液など)し、犬の体もこまめに洗います。また、多頭飼育の場合には、全頭に抗原虫薬の投与が必要となります。