ツメダニ症は、イヌツメダニという寄生虫の感染による皮膚病です。ツメダニは高い接触感染性を持ち、感染している犬との接触で感染します。このダニは名前の通り、体の前方にかぎ爪(フック)を持っており、このツメで動物の皮膚にとりつき、傷をつけて体液やリンパ液を摂取して生息しています。感染された犬は痒みを訴え、特徴的な乾いた大量の白いフケが背部や体幹部にみられます。成犬は感染しても無症状のことがあります。比較的大型のダニであるため、黒い皮膚や被毛上での動き(フケが動いている感じ)が見えることから、この病気はときに「歩くフケ」と言われることもあります。
危険度
低い 命に関わる恐れは低いですが、注意が必要です。
かかりやすい犬種
すべての犬種に一般的にみられますが、特に1歳に満たない若齢犬がかかりやすいと言われています。
主な症状
ツメダニ症の最も目立つ症状は、大量の乾いた白いフケです。これは、背部にみられることが多く、耳の後ろや尾の付け根、股間、おなかなどにもみられます。子犬の場合症状が悪化しやすい傾向がありますが、成犬では症状がほとんど出ない場合もあり、知らない間に感染が広がってしまうこともあります。
予防方法
ツメダニに感染している犬・猫と接触しないようにすること、感染した犬のブラシ等の道具を共有しないことが大切です。人にも感染するため、感染した犬を抱っこしたり、一緒に寝たりしないことです。人が感染すると、赤い発疹ができて強い痒みを伴います。とはいえ、人の皮膚の上では繁殖できないため、症状は一過性で自然に消滅しますが、このような場合には飼い犬を動物病院に連れていく必要があります。
原因
イヌツメダニに感染している犬・猫と直接的またはブラシなどで間接的に接触することで、感染します。まれに、周辺環境中に潜むツメダニが感染することもあります。
治療方法
薬用シャンプーや殺ダニ剤の薬浴、または飲み薬の投与により治療を行います。シャンプーや薬浴では、大量の分厚いフケをしっかりと洗浄、除去します。長毛の犬の場合には薬が浸透しやすいように毛刈りをしてから行います。また、同居しているすべての動物において、新しく孵化したダニを駆除するために、少なくとも3週間の治療が必要です。雌のツメダニは環境内で10日間生存できるため、再感染しないように飼育環境をこまめに清掃し、殺虫剤や殺ダニ剤を使用するなどしてダニが繁殖しない環境を作ることが大切です。