低血糖症

血中の糖分濃度が著しく低下し、細胞への栄養補給が不完全になった状態を低血糖症と呼びます。症状としては、ぐったりして無気力状態になったり、痙攣を起こしたりします。これらの症状が現れる理由は、脳が血液中の糖分を唯一のエネルギー源として活動していることため、血糖値の低下によって脳の機能低下を招くためです。治療法として、ブドウ糖の投与を行います。

危険度

一概に言えない 年齢や症状、原因によって違うため、一概には言えません。

かかりやすい犬種

子犬の低血糖症は、生後三か月までの小型犬に多く見られます。成犬の低血糖症の場合は、5歳以上の犬に多く見られます。アイリッシュ・セター、ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、スタンダード・プードル、ジャーマン・シェパードなどの大型犬が発症しやすい犬種です。

主な症状

低血糖症の症状は、持続血液中の糖分濃度や低血糖になってからの経過時間、糖分の低下が急激か緩やかかなどによって異なります。主な症状としては、ぐったりとして元気がなくなる、運動失調、下半身の麻痺、痙攣発作などです。低血糖による痙攣は、程度は軽く済みますが持続する傾向にあります。

予防方法

子犬の場合には、空腹時間を減らすことが大切です。そのため、一回のドッグフードの量を減らし、食事回数を増やすなどの工夫をするとよいです。成犬の場合には空腹時の激しい運動を避け、興奮させないことが予防につながります。家庭で、痙攣が起きた場合には子犬、成犬に関わらず砂糖水やガムシロップ、はちみつを摂取させることも効果的です(ただし、無理やり飲まさず、頬の内側や歯茎に塗って与えます)。

原因

低血糖症を起こす原因は、子犬の場合と、成犬の場合とで異なります。生後間もない子犬の場合には、空腹や冷え、内臓障害に伴う栄養の吸収不全などがあげられます。特に生後3か月未満の子犬は肝臓の機能が弱く、糖を貯える力が乏しいため、食事によって十分な糖を摂取しなければ低血糖症を発症しやすくなります。また、消化管内寄生虫症やパルボウィルス感染症などの病気になり、長時間食事がとれないことでも発症します。成犬の場合は、空腹、過度な運動、興奮などが主な原因です。そのほか、副腎皮質機能低下症によるホルモンバランスの異常や膵臓の腫瘍、重度の感染症などの疾患が原因となり発症します。また、糖尿病を患い、インスリン注射で血糖値をコントロールしている場合、インスリンの量が多すぎて低血糖を起こすことがあります。

治療方法

ブドウ糖を経口、または注射によって投与して治療します。