前十字靭帯断裂

前十字靭帯断裂は、大腿骨と脛骨をつなぐ前十字靭帯が切れてしまう病気です。犬で最も多い整形外科疾患といえます。発症すると、痛みで足を着けなくなった結果、後ろ足を上げて歩くなどの症状が現れます。治療には、保存療法と外科療法がありますが、一般的には手術による治療が推奨されます。

危険度

低い 命に関わる恐れは低いですが、注意が必要です。

かかりやすい犬種

加齢によって引き起こされることが多いため、高齢の犬に多くみられます。大型犬の場合は、若年の頃から発症することがあります。

主な症状

急性断裂の場合では、痛みで足が着けなくなります。足を着けられたとしても、体重の負重は弱く、誰にでもわかるような明らかな歩行異常がみられます。慢性化したものでは、足を引きずったり、立ったり座ったりの動作がつらそうな様子も見られます。

予防方法

激しい運動は避けること、食事管理を行うこと、肥満にさせないこと、の三点に気を付けることが大切です。膝への負担を軽減するために、室内飼育する場合は、じゅうたんやマットなどを敷くことが効果的です。

原因

事故や激しい運動などによって、肢が滑ったり、捻じれたりすることで、急激な圧力が加わり、断裂の原因となります。老化によって靭帯が脆弱になったり、肥満によって膝関節への負担が増加することも原因となります。

治療方法

治療方法として、保存療法と外科療法があります。保存療法では、安静にさせたり、抗炎症薬を投与することで痛みを管理したりなどして炎症が治まるのを待ちます。外科療法では、画一化された方法は開発されていませんが、靱帯の再建手術などが行われます。外科的手術による治療だと、90~95%の確率で完治します。ただし、慢性の場合は、外科的手術を行った場合でも、徐々に進行していきます。いずれの治療を行ったとしても慢性関節炎に進行するおそれがあります。半月板も一緒に損傷することが多いので摘出術をおこなうこともあります。