皮膚糸状菌症とは、皮膚や被毛などに皮膚糸状菌というカビが感染して発症する病気で、白癬やリングワームとも呼ばれます。小さな円形の脱毛ができて、それが徐々に広がり、その周囲に赤い発疹やフケ、かさぶたがみられるようになります。悪化すると分厚いかさぶたを伴う丘疹(赤いブツブツ)がみられることもあります。皮膚糸状菌症は人獣共通感染症で、とりわけ感染力が強いため、感染が見つかった場合、同居動物や人への感染に注意が必要です。
危険度
低い 命に関わる恐れは低いですが、感染力が強いため、感染の拡大に注意が必要です。
かかりやすい犬種
全ての犬種に一般的に見られます。
主な症状
特徴的な症状は円形の脱毛です。皮膚糸状菌が被毛に感染すると、毛がちぎれて、やがて円形の脱毛になってしまいます。 そして、その範囲が徐々に広がっていきます。脱毛部分と正常な部分との境目ははっきりしています。また、脱毛部の周りにフケやかさぶたが見られるようになってきます。症状は、耳や顔、四肢の一部にみられることが多いですが、全身のあらゆるところに起こりえます。治ったように見えても、しばらくは菌が体表上に残り、他の犬や猫、人への感染源となります。そのため早期の治療が重要です。
予防方法
予防法としては、他の動物から菌をもらわないように気を付けるということが重要です。そのためには、他の動物との不用意な接触はなるべく避けた方が賢明でしょう。 原因となる皮膚糸状菌の中には土壌に存在する菌もあり、庭の土を掘り起こしたりして土壌と接触することにも注意が必要です。また、早期発見・早期治療が大切です。愛犬の皮膚に脱毛や発疹が見られたら、早く受診するようにしましょう。また、日頃から飼育環境や皮膚を清潔に保つことも、予防につながります。
原因
犬には、イヌ小胞子菌、石膏状小胞子菌、トリコフィトンメンタグロフィラスという3種の皮膚糸状菌が感染しますが、これらのうちの一種、あるいは複数種が感染して皮膚糸状菌症を起こします。犬の表皮や被毛、爪の根本への感染が原因となって炎症を起こします。感染経路としては、動物間での接触感染がほとんどですが、まれに土を掘り起こしたりして、土壌中の菌が感染する場合もあります。健康な成犬では保菌していても発症することは少なく、8週間以内に自然治癒すると言われています。子犬や免疫不全の犬、全身性の疾患を持つ犬など、免疫力が低下した状態で発症することが多い傾向にあります。
治療方法
皮膚糸状菌症の治療は、抗真菌薬の飲み薬を中心に、抗菌シャンプーや抗真菌薬の塗り薬を併用します。病変部が小さい範囲にとどまっている場合には、外用薬や薬浴で局所的な治療を行います。早期の完治を目指し、他の動物や人への感染をできる限り食い止めることが重要です。