脱毛症には、2種類の抜け毛があります。それは、生理現象として季節の変わり目に毛が生え変わる換毛と、アトピー性皮膚炎や寄生虫、カビ、細菌による感染性皮膚炎、ホルモン異常(クッシング症候群など)などの病気によって引き起こされる脱毛です。病気が原因となって起きた脱毛では、皮膚のかゆみや赤み、発疹、色素沈着なども症状として見られることがあります。
危険度
低い 命に関わる恐れは低いですが、注意が必要です。
かかりやすい犬種
すべての犬種に一般的にみられます。
主な症状
病気が原因で発症する脱毛症では、その病気によって脱毛の程度は様々で、部分的な場合もあれば、全身に発生する場合もあります。アトピー性皮膚炎や寄生虫、カビ、細菌の感染が原因である場合、脱毛のほか、かゆみや皮膚の赤みなどの皮膚炎の症状を伴うことがあります。内分泌性疾患によるホルモン性の脱毛症では、かゆみはほとんど見られないことが多く、左右対称に脱毛したり、体全体の毛が薄くなったりするほか、皮膚が黒ずむ、フケが多くなる、毛づやが悪くなる、皮膚が薄くなるといった症状もみられます。
予防方法
脱毛症には特定の予防方法がないため、原因となりうる寄生虫やカビ、細菌の感染から守るため、衛生的・健康的な生活を整えることが大切です。
原因
脱毛症には、様々な原因が存在します。アトピー性皮膚炎、ノミ、ダニなど外部寄生虫による皮膚炎、カビや細菌による感染性皮膚炎、ホルモン性の病気(内分泌性疾患)、毛包形成異常症などの他、妊娠や育児、栄養不良、ショック、発熱などによるストレスによって脱毛を起こすことがあります。ストレス誘発性の脱毛では、被毛の下の皮膚は正常なため、多くの場合、被毛はすぐに生えてきます。
治療方法
脱毛の原因に応じた治療を行うことが重要です。アトピー性皮膚炎が原因の場合、ステロイド剤や抗アレルギー薬の投与でかゆみや炎症を抑え、皮膚の状態を良好にしていきます。アトピー性皮膚炎は根治が難しい病気であるため、繰り返し脱毛を起こす可能性がありますが、根気よくケアをしていくことが大切です。外部寄生虫の感染が原因の場合、投薬あるいは薬浴によって寄生虫を駆除し、痒みや炎症などの症状に合わせた治療薬を用いて治していきます。細菌感染が原因の場合には、抗生物質を投与し、皮膚炎の治療を行います。内分泌性疾患が疑われる場合には、その病気を正確に診断し、ホルモンバランスを整える治療を行います。