肛門嚢炎(こうもんのうえん)は、肛門付近にある肛門嚢に分泌液が溜まってしまい、そこに細菌が感染して炎症を起こす病気です。この病気になると、肛門周辺を気にするような仕草を取ったり、お尻を地面にこすりつけたりします。地面に沿ってお尻を引きずる動作は特徴的です。肛門嚢炎を放置すると、腫れや強い痛みが出て、肛門付近を触ろうとすると嫌がったり、攻撃的になったりします。さらに悪化すると肛門嚢破裂を起こし、血液や膿の混じった液体が出るようになります。
危険度
低い 命に関わる恐れは低いですが、注意が必要です。
かかりやすい犬種
全ての犬種に一般的に見られます。特に肛門括約筋の弱い小型犬や肥満犬、高齢犬で多くみられます。
主な症状
肛門嚢は、肛門の4時と8時の位置にある一対の「におい袋」で、排便時などに分泌液が排出されます。犬はそれを自分のにおいとして縄張り宣言(マーキング)をするために活用します。この肛門嚢に炎症が起きると、肛門周辺をやたら気にしたり、地面に沿ってお尻を引きずる特徴的な動作をしたり、お尻をなめたりします。症状が悪化すると、腫れて痛みが激しくなり、鳴きわめいたり、攻撃的になったり、便秘を起こすこともあります。さらにひどくなると、肛門嚢が破れて膿や血が混じった液体が排出され、発熱や食欲の低下も起こります。
予防方法
飼い主が定期的に肛門嚢を絞って分泌液を排出してあげる事によって予防が可能です。病院や美容院で、肛門嚢の絞り方を教えてもらえば、自宅でもできます。ワンちゃんが、肛門を気にする仕草をしたら、肛門嚢を絞る時期だと思って、シャンプーなどの際に肛門嚢を絞ってあげましょう。もし自分で出来ない場合は、病院や美容院でお願いしましょう。また、普段から肛門周辺を観察し、正常な状態を把握しておくと、初期段階で異変に気付く事が出来ます。
原因
肛門嚢炎とは、肛門嚢の開口部が詰まったり、分泌液の粘度が高くなったりして、肛門嚢内に分泌液が溜まり、そこに細菌が感染して炎症が起こる病気です。老化や外肛門括約筋が弱い小型犬などでは、括約筋の収縮力が低いため、肛門嚢を絞る力が弱まり、内部に分泌液がたまりやすくなり、、肛門嚢炎が起こります。その他にも、下痢や軟便などで肛門周囲が汚れていると、細菌感染を起こしやすくなるため、肛門嚢炎になる場合があります。
治療方法
軽度の場合には、肛門嚢を絞って分泌液を排出し、細菌感染に対して抗生物質を投与する内科的治療を行います。化膿がひどく、膿が多量に溜まっていたり、肛門嚢が破裂している場合には、抗生物質の投与に加え、外科的な処置で患部の排膿・洗浄を、きれいになるまで繰り返し行う必要があります。