胃拡張・胃捻転症候群 (胃の鼓脹症)

胃拡張・胃捻転症候群 (胃の鼓脹症)は大型で胸の深い犬種が発症しやすい疾患で、胃が拡張するとともに捻れ、胃の中で作られたガスが排出できなくなり胃拡張が進行することで、ショック症状や胃の虚血、壊死など命に関わる症状を引き起こします。発症すると空嘔吐や明らかに多量のよだれ、苦しそうな呼吸などがみられます。

危険度

高い 命に関わる危険性があります。

かかりやすい犬種

ドーベルマン・ピンシャー、ジャーマン・シェパード、スタンダード・プードル、グレート・デン、ワイマラナー、セント・バーナード、アイリッシュ・セッター、ゴールデン・セッターなどの大型犬種が多いですが、比較的小さいサイズのバセット・ハウンドは発生率が高いため注意が必要です。年齢は壮年期(7〜10歳)に多く見られます。

主な症状

発症すると空嘔吐を繰り返し、大量のよだれを垂らすようになります。時間が経つとともに元気がなくなりお腹が膨れてきます。
呼吸は荒く浅くなり、明らかに元気のない状態になってきます。また脈拍が速くて弱くなり、青白い可視粘膜やショック症状なども見られるようになります。
治療が遅れてしまうと胃の壊死や心筋虚血などを起こし、死に至ることも少なくありません。

予防方法

かかりやすい犬種では一回の食事量を減らし食事回数を増やすなどの工夫をすると良いでしょう。また過度の運動や運動直前直後の食事は避けるようにしましょう。なお、食事の際は高い位置に食器を設置することは避けたほうがよいです。

原因

一般的に胃拡張・胃捻転症候群 (胃の鼓脹症)は胃がねじれ胃の中の液体やガスの貯留によって引き起こされ、原因としては餌や水を大量に取ったり、食事後すぐに運動などやストレスなどが言われていますが明確な原因は分かってはいません。

治療方法

ショック症状の改善などの安定化と胃の減圧を優先します。具体的には点滴を行い安定化を図るとともに口から胃にチューブを通すなどの方法で胃の減圧を行います。
一旦チューブが胃に入ることが出来ればガスは抜け、、液体などは吸引により除去することができます。もしチューブが入らない場合には皮膚から直接胃に大き目の中空針を刺しカテーテルを入れることでガスを抜きます。いずれかの方法で胃の減圧がされた後は温水で胃の洗浄を行います。
状態により外科手術を行い再び捻れないよう腹壁への固定などを行うケースもあります。