ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、腎臓の不要物を濾過する部位である糸球体(ネフロン)に障害が起こることがきっかけとなり、尿中に大量の蛋白質が漏れでてしまう病態のことを指します。尿中へのたんぱく尿の増加から低アルブミン血症(低たんぱく血症)が生じ、これにともない高脂血症(高コレステロール血症)、高血圧、腹水や浮腫といった症状がみられるようになります。ネフローゼ症候群は糸球体腎炎などの自己免疫性疾患が背景となることが多く、これにより糸球体機能が一度失われると回復せず、腎機能が低下していきます。またネフローゼ症候群そのものも腎不全を助長するため、予後には注意が必要です。

危険度

やや高い 背景となる疾患の重症度により、予後には注意が必要です。

かかりやすい犬種

すべての犬種に一般的にみられます。

主な症状

お腹が膨れる、むくみがある、ぐったりしている・元気がない、食欲がない、など。初期にはたんぱく尿が見られる程度ですが、病態が進行するにつれ、低蛋白(低アルブミン)血症、高脂血症、高血圧、高ナトリウム血症の状態になり、結果として腹水、浮腫、下痢、嘔吐、元気消失、食欲不振といった症状がみられるようになります。また、免疫力が低下するため感染症にかかりやすくなります。

予防方法

尿検査のある定期健診を受けるようにしましょう。

原因

ネフローゼ症候群は、様々な病気が原因となって引き起こされます。糸球体腎炎といった腎臓の病気はもちろん、代謝異常による腎障害、腫瘍疾患、様々な感染性疾患、腎臓に毒性のある薬剤や毒物の摂取、免疫系疾患などが挙げられます。

治療方法

原因となっている疾患が明らかなの場合、その病気の治療を行い、その他、ナトリウムやたんぱくを制限した処方食、抗高血圧薬(血管拡張剤)、利尿剤、抗炎症薬や種々の免疫抑制剤等を病態に応じて用います。またネフローゼ症候群では血栓塞栓性疾患が生じやすくなるため、その発症を予防するため、運動制限、抗血栓剤投与といった治療を行うこともあります。