腎不全とはなんらかの理由により腎臓が障害された結果、体内の老廃物の排泄や水分・電解質バランスの調節などの機能に異常をきたした状態です。急性腎不全と慢性腎不全に分けられます。急性腎不全は急激に症状が悪化し、命に関わることもあるため、一刻も早い治療が必要です。
危険度
やや高い 重症や急性症状の場合には、命に関わる恐れがあるかもしれません。
かかりやすい犬種
すべての犬種に一般的にみられます。
主な症状
尿がたくさん出る、尿が出にくくなる、痩せる、ぐったりしている・元気がない、吐く、水をたくさん飲む、食欲がない、など。急性腎不全では、尿量が急激に減少し、食欲不振、嘔吐、ぐったりした様子が多くなるなどの症状が現れます。急速に悪化するため、治療が遅れると高カリウム血症や尿毒症を引き起こし、命を落としてしまいます。慢性腎不全の症状は、徐々に進行していきます。初期はほぼ無症状ですが、しだいに水をよく飲むようになり尿の量が増えてきます。症状の進行につれて、嘔吐や食欲不振、体重の減少、貧血などの症状が見られるようになります。悪化して尿毒症におちいると、昏睡状態になったり、痙攣を引き起こしたりするようになります。
予防方法
与えるたんぱく質や塩分の量が適切になるように管理しましょう。また、排尿の量や回数をチェックすることで、早期発見・早期治療をすることが大切です。
原因
急性腎不全は、腎前性急性腎不全、腎性急性腎不全、腎後性急性腎不全の3種に分けられます。腎前性では心疾患や脱水などが原因で、腎臓に流入する血液量が少なくなることで引き起こされるます。腎性では腎臓に直接異常が生じることで引き起こされます。腎後性では尿路が腫瘍や結石等で閉塞した、尿路が損傷した、などが原因で尿の排泄が正常に機能しなくなることにより引き起こされます。慢性腎不全は、様々な腎臓疾患によって、ネフロン(血液をろ過して尿を作る器官)が破壊され引き起こされます。急性腎不全が移行して、慢性腎不全となる場合もあります。
治療方法
急性腎不全は命に関わる危険性が高いため、一刻も早い治療が必要です。原因となっている病気の治療を行って、さらなる腎臓への障害を抑えることが大切です。内科的治療(点滴や透析)により、症状緩和と腎機能の回復に取り組みます。また、治療によって命が助かった場合でも、その後慢性腎不全に移行することも珍しくありません。慢性腎不全の治療は、食事療法、薬物療法などによって、症状の悪化を防ぐことが目的になりますが、完全に回復させることはできません。