【獣医師執筆】新型コロナウイルス、狂犬病予防ワクチンは6月30日までに必須？

例年だと4〜5月はワンちゃんの予防について、各動物病院が飼い主の皆さんに来院を促す期間になります。

しかし、今年に関しては新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が全国規模で発出された、例年とは全く異なる状況です。

そこで今回は、2020年度今年の狂犬病ワクチンの接種についてご紹介します。

2020年度の狂犬病予防ワクチンは期間を延長する可能性がある

例年だと狂犬病予防法という法律により、飼い主の皆さんには、狂犬病予防ワクチンを4月1日から6月30日までに飼い犬に接種させる義務があります。（違反した場合、20万円以下の罰金が規定されています！）

ただ、今年の場合は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する目的で、7月以降に受けさせることも可能とする方向に検討中とのことです（厚生労働省のHPより、4月15日時点）。

今は狂犬病予防ワクチンよりも新型コロナウイルス対策の方が重要

その影響を受けたのでしょうか、様々な地域において、狂犬病予防の集合注射を中止あるいは延期と判断する流れになってきています。

また、動物病院での接種に関しては、各動物病院および勤務している獣医師の判断に任されているようです。

それでも、緊急事態宣言を受けて多くの動物病院では、不要不急の外出を控えていただくよう、飼い主には予防接種を目的とした受診を避けてもらうようアナウンスしています。

例年の集合注射会場には、愛犬を連れた飼い主さん、およびそのご家族で溢れかえることがほとんどです。

現在感染拡大を防止する目的で、いわゆる三密（密閉・密集・密接）とまではいかないまでも、ワンちゃんを連れた状態だと必要なソーシャルディスタンスを保つことが難しいと判断されたのではないかと思います。

集合注射のために集まってもらう獣医師や動物看護師を含めたスタッフ間への三密回避・感染予防も目的にあるでしょう。

それ以上に、この判断が下された背景には、狂犬病という恐ろしい感染症が現在の日本国内において、人だけではなく犬などの動物を含めて発生していないという事実があるのではないでしょうか。

とはいえ、日本の隣国を含め、世界のほとんどの地域や国々では狂犬病は依然として発生しており、多くの人の命を奪っている感染症です。

飼い犬への狂犬病ワクチン接種は、本来は飼い主の義務ですが、現在はその優先順位は一時的に下げられています。

まとめ

2020年4月現在は、新型コロナウイルスの感染拡大を少しでも抑えるため、国民全員が外出自粛をすべき時です。

狂犬病のワクチンは、新型コロナウイルスの蔓延が落ち着きを見せ、外出自粛の必要がなくなってから落ち着いて接種しに行きましょう。
それからでも全く遅くはありませんので、ご安心ください。